エレファントカシマシ「昇れる太陽」の個人的レビュー

明確な音楽的スタンスと伝えるべきメッセージを手にした前作「STARTING OVER」から1年。今回発売された18枚目のフルアルバム「昇れる太陽」は、前評判通り、エレファントカシマシにとってかなり革命的な内容でした。表舞台に再び返り咲くべく、絶妙なバランスでエレカシの音楽をメジャーサウンドに引き上げた前作の方向性をしっかりと踏襲しつつ、今作では野心的なチャレンジ精神と、エレカシの未来を感じとることができます。
宮本のスライドギターで幕を開けるM1は、このアルバムを象徴するような意気を感じる楽曲。若き頃の彼らを彷彿とさせるような迸るエネルギーと、これからのエレカシを想わせる期待感が押し寄せてくるナンバーです。M2,M3,M4はシングル曲やCMで使われている耳なじみの良い秀逸なメロディー曲が続きます。こういう「聞かせる」曲も最近のエレカシの特徴ですね。宮本の声は、確かなものを掴んだ自信に満ちていて、だからこそストレートに聞き手に届いてきます。
M5~M8が個人的にもっとも楽しめた部分。メロディアスな楽曲から徐々に宮本の気概とでも言うべきか、エレカシの面白い部分が顔を出しはじめます。特にM6「おかみさん」は半端じゃないです。70年代のハードロックを彷彿とさせる激しくも懐かしみのあるギターに、宮本全快のユニークな歌詞。宮本は解き放たれたように自由に歌います。そしてM8では打ち込みとシンセサイザーが効いたデジタルトラック。「good morning」の頃が思い出されますが、あの頃との違いは信頼を寄せられるプロデューサーの存在があること。今回のアルバムは、蔦谷好位置、亀田誠冶、YANAGIMANなどの複数のやり手プロデューサーがそれぞれの楽曲でその手腕を発揮しています。
M9は宮本のエモーシャナルなボーカルがグッとくるバラード(mixiのコミュやレビューでは人気が高いですね)。再び聞かせるモードに戻して、ラストは「桜の花、舞い上がる道を」で大いなるエンディングを迎えます。「桜の花~」はユニバーサル時代のエレカシを代表する名曲でしょう。アルバムの最後を華やかに鮮やかに彩ります。
いろいろなタイプの楽曲があって、それを複数のプロデューサーと仕上げているにも関わらず、1枚のアルバムとして不思議なくらい統一感が保たれています。それはどんなアレンジを纏っても、芯にはしっかり私たちの知っている「エレカシ」がいるからでしょう。通して聞くと、今までエレカシが歩んできた道のりを振り返ることもできるし、そしてこれからのエレカシを感じることもできる良いアルバムだなと思います。インタビューなどで最近宮本は、ユニバーサル時代に入ってからエレカシは「大きく」「広く」なったと言っていますが、その意味が良くわかりました。エレカシはこれからも往くのです。もっともっと「大きく」「広く」なって。
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