ニューヨークでメッセンジャーとして生きる【PEDAL】

前回のエントリーに関連して、ピストバイクに関係の深い映画を一本紹介しようと思います。
ピーター・サザーランドというフォトグラファーが監督した「PEDAL」です。毎年世界中の都市で開催されている自転車の映画祭BICYCLE FILM FESTIVALで上映されて注目を集め、DVDにもなっています。
ニューヨークのメッセンジャーたちを追ったドキュメンタリー映画なのですが、車載カメラをつかったスリリングで疾走感あふれるクールな映像もさることながら、次第に映し出される巨大都市ニューヨークの暗部を私たちは目にすることになります。
メッセンジャーの仕事は過酷です。雨の日も、風の日も、雪の日も、夏も、冬も、走らなければいけません。走らなければ金になりません。そして毎日ニューヨークのトラフィックのなかを走り続けていれば、命を脅かすような危険な目に遭うこともあります。
身体を壊して走れなくなれば、生活は脆くも崩壊し、住む部屋を失って、地下鉄が走るマンホールの下で暮らす者もいます。
彼らは様々な理由から自転車に跨ります。金のため、酒のため、マリファナのため、自由のため・・・。一体何が彼らにペダルを漕がせるのか。社会とうまく折り合いをつけられず、不器用に、けれども純粋に彼らはペダルを漕ぎ続けます。
しかしそんなニューヨークのメッセンジャーたちが、安くて壊れにくいから、という理由で乗っている自転車がピストバイクなわけで、それが日本に逆輸入されれば(ピストはもともと日本の競輪のトラックバイク)、やっぱり日本のお決まりの文化にきれいに染まって拡がるんですね。毎度のことながら、面白いような、悲しいような気持ちにもなります。
けれども自転車に関しては、自転車に跨っているときの人間の顔は、東京でもニューヨークでもかなり近い表情をしていて、そういう普遍的な自転車の楽しさみないなものが、巨大な自転車コミュニティーを形成するに至っているのでしょう。そこら辺の世界中に繋がる自転車のコミュニティーについてもPEDALで触れられています。
日本のピスト文化圏しか知らない人には、カルチャーショックとも言える内容だと思います。巨大な街とそこに生きるメッセンジャーに迫る、優れたドキュメンタリー作品。自転車ファンならずともおすすめです。







